お姫様は王子様を演じてる

復讐は蜜の味!?




制服に着替えると、階段を降りてリビングへと歩いた。



昨日と同じようにエプロンをつけた兵藤一樹がせわしなく動いていた。



ピリッとした緊張感が私に走る。



……ミニトマト



兵藤の予告では、私の朝食は奴オンリーだ。



恐る恐るテーブルにある食事にそっと目をやった。



……よしっ。



良かった、奴はいない…



鼻歌まじりに席に座ると、目の前のお皿に手を伸ばした。



その途端さっと美味しそうなオムレツが私から離れていく……



「えっ…ちょっ…」



「上野、貴様の朝食はこっちだ」



新たに目の前に置かれたお皿には赤々としたミニトマトが大量にのっていた。



「……た…食べれません」


兵藤は軽く咳ばらいをすると眼鏡を軽く直しながら言う。



「獅子は自分の子供を戦塵の谷へと落とすと言う。
……苦労してはい上がると子供は強くなるのだ。
上野、さぁ食べるがいい!!」



まず、私はあなたの子供ではない。



それと本当の獅子は谷に子供を落としたりなんかしない…



アフリカのドキュメンタリーで最近見たから間違いないです。


だから私も進んで谷には落ちたくないし、できればオムレツが食べたい。



そう心の中で考えていたけど、満足げな笑顔で私を見る兵藤が怖くて何も言えなかった。



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