キープアウト!
「あの、お礼したいんだけど、ご飯でも行かない?」

「いいえ。いいです」

あたしは断った。

「どうして?」

「そいうつもりでやったわけじゃないですから」

「そっか…」

「気持ちだけで、十分です」

「でも、本当にありがとうな。助かったよ」

「お大事にして下さいね」

あたしがそう言った時。

仕事開始五分前の予令のチャイムが鳴った。

あたしたちはそこで別れた。

そして。
それっきりだった。


まさか、半年後に彼から口説かれることになるとは…

――思いもしなかった。
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