天を衝く槍
1.Alice
―—月光歴215年4月3日月曜日



それから約半年が過ぎ、季節は春になった。


飛行機から降りて、空港のロビーに出る。


「長時間のフライトお疲れさま、コウガ」


これからどこへ行けばいいのか分からない私が狼狽していると、男に声をかけられた。


切れ目の黒い目に黒い髪、低い鼻と薄い唇。


そして、黄色に近い肌の色。


「僕はソンジュ、よろしく」


彼はそう言って、二カッと笑った。

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