暗闇の中
#001 憂鬱な日々

4月

さわやかな風がカーテンを揺らし、

鳥の鳴く声で私は目覚めた。

どうやら私は、

今日から高校2年生になるらしい

いつも通り支度をして、

セーラー服のリボンを結んでいると

インターホンが鳴った。

壁に取り付けられた機械には、

私の幼馴染コノハが

見飽きた笑顔でこちらを見ている。

そろそろ私の準備もできたのでドアを開ける。

「おはよう!」

いつも通りコノハは私に笑いかける。

私はそれを見なかったことにして、

足を動かした。

コノハは私を喜ばすためか知らないが、

一人でしゃべりだした。

「今日ミカゼの家に来るときガムを踏んで―――」

私はそれを聞き流して、足早に歩く。

人通りの多い駅に着いた。

コノハは人を避けるのに大変そうだ。

周りの人はコノハに気づかない。


『それはコノハは幽霊だからだ。』

< 1 / 8 >

この作品をシェア

pagetop