ライが閂を外しておいてくれたので、塔の扉からクルミを連れて外に出た。
 もう一度あの暗闇を歩くのは、クルミ連れでは厳しい。

 クルミはあの暗闇をひとり、手探りで塔までやって来た。
 怖くなかったのか尋ねたら、ケロリとして言う。


「心細かったけど、必ず外に通じていると信じていましたから」


 人間の建てた城には、いざという時に備えて秘密の抜け道が用意されているものらしい。
 身内や家臣ですら、いつ刃を向けてくるかわからない、上流社会ならではの常識のようだ。
 ——という事は、この城も遠い昔に人間が建てた物なのかもしれない。

 地下を随分歩いたような気がしたが、目と鼻の先に城の裏壁があって少し驚いた。

 塔は城壁に沿って建てられた物見櫓のようなものらしい。
 獣の森に外敵である人間が入らなくなって久しいので、長い間使用されてなかったようだ。

 そんなものがある事すらジンは知らなかった。
 好奇心旺盛な奥様が、また妙な仕掛けにはまって行方知れずになっては気が休まらない。
 一度城内の総点検をする必要があるだろう。

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