Who am l?
一方男子は、というと、あまり制服と変わらない形のタキシードに定番の白い手袋、という衣装だ。
私は口を開く。
「まあ、もう衣装届いちゃったんだからさ。」
先程の前者グループ―――主に真面目、地味―――の人々が一斉に私を睨む。
だが後者グループ―――主にギャル――の人々は私に加勢してくれる。
「そうだよ。せっかくメイド喫茶の希望通ったんだしサ。」
「比奈子の言う通りだよ。着たくねえなら届く前に言え~~。」
クラスの大半は、私の事を「朝比」「比奈」「比奈子」と呼ぶ。
思い返せば中学の時も、私を「風」(フウ)なんて変な呼び名で呼ぶのは、峰子たった1人だった。
それが逆に嬉しかった事でもあるのだが。