Who am l?
時刻は11時。
私や神崎は午前だけで交替だ。
――…終わったら今朝の事を聞いてみようかな。
私は右手に持った丸いお盆を進路指導室の“厨房”の所に持っていった。
「アイスカフェオレとコーヒー!」
私が叫ぶと、疲れた…という目をしたクラスメイトが、椅子からよろりと立ち上がった。
「……」
頑張ってくれ、と心の中で叫びながら進路指導室を出る。
―――途端、私は完全にフリーズした。
周りの人も、止まっているように感じる。
私の視界の中には、ある男が入っていた。
神崎と同等…いや、それ以上の長身に大きな瞳。
目や髪の毛には、やや茶色がかかっていて、手足が透き通るように白い。
その天使のような容姿を持つ男は――私がこの世で一番憎い人間だった。