Who am l?
玲は表情を崩さずに、次は顔を近付けてくる。
「抵抗すんなよ。」
甘い、とても儚い声。
聞いた人間は、本当に抵抗出来なくなってしまう。
そしてそのまま――…
唇が触れるまで、あと一秒もない、という所で、聞き慣れた声が耳に入った。
「な~にやってるのかな?」
……神崎!
玲は神崎を見ると、舌打ちをして何処かへ行ってしまった。
階段の上に居た神崎が、私の元へ来る。
私の力が抜けて、へたりこむよりも、神崎が私の肩に、今朝のように顔をうずくまらせる方がわずかに早かった。
神崎の顔が――赤い。