BRACK☆JACK~本章~

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 エアポートという場所は、ある種特別な異空間だと思う。

 このはた迷惑な騒音とともに、人はここに帰ってきたり、ここから旅立って行ったりする。

 当然この場所は、出会いもあれば別れもある。

 再会、というものもあるかもしれないし、あるいは仕事か何かで無感動にここに降り立つ人もいるかもしれない。

 エアポートは様々な想いを抱えた人々で溢れかえっていて、そんな人間模様を見ているのが好きだった。

 アジア有数の大都市であるこの街は、エアポートを中心に高層ビルが立ち並び、世界中から企業が集まるビシネス街として栄えていた。

 近くには大きな港もあり、貿易も盛んに行われている。

 きちんと整備された美しい海岸は、温暖な気候のためリゾート地としても人気があり、一年中観光客で賑わう。

 だがミサトはこの大都市に仕事に来たわけでも、観光に来たわけでもなかった。

 よっこらしょ、と小さなナップザックを肩に担ぎなおし、ポケットから手で千切ったようなメモ用紙を取り出して、空港前に停まっていたタクシーを捕まえる。

 そのメモを運転手に見せて、あとは身振り手振りでそこに行って欲しいということを伝えようとしているのだが、運転手はイマイチ渋い顔をして、なかなか車を走らせようとはしない。
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