君と、世界の果てで


「おはようございます!」


「おう」



崇文が、いつものように元気に挨拶をする。


その横で、渚が手をふった。


控え室には、他のバンドのメンバーもいた。



「あれ……翼じゃん!」


「渚も!」


「おぉ、久しぶりだな」



昔、対バンで同じステージに立った事のある奴もいて、声をかけられた。



「やめたんじゃなかったのか?」


「卒業と就職決まって、暇になったんだよ」



弟が死んだ事には触れず、渚が適当にあしらってくれた。


持つべきものは、友だな。



「歌姫は?」


「着替えてるよ」


「翼さん、驚きますよ」



崇文がニヤニヤして言う。



「……やっぱり、乳が出てるのか?」



ベシッ。


ボソッと言った俺の背中を、後ろから殴る手があった。



「ちちとか言わない!」



聞きなれた声に振り向くと、黒髪を金色に染めた深音がいた。


サラサラとした金髪に、白い花の髪飾りを付けている。


< 129 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop