君と、世界の果てで


「一緒にいて……」



消えそうな声で言われ、その細い体をきつく押し付けられた。



「大丈夫だ、落ち着くまでは、一緒にいるから」


「いや……ずっと、そばにいて」



参ったな……。


深音は自分が言っていることがわかっているのだろうか。


それに混乱してるとはいえ、もう22時になってしまう。



「……家に連絡しろ」


「いや!」


「深音」



無理に体を離し、顔を見つめる。


その顔は、涙でぐちゃぐちゃだった。



「少しは、警戒しろ。

お前は……綺麗なんだから。

俺だって、男なんだから」


「翼さん……」


「俺だって、そばにいてやりたいけど……

ご両親だって、きっと、心配してる」



少しずつ、深音の呼吸の音が整いはじめた。



「……あの人、おかしいんです……」


「あぁ。目が、イッてた。

あんなやつの言うこと、気にしてねぇから。

見捨てたりしないから」



これは、半分嘘だった。


実は、ものすごく気にしている。


< 176 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop