君と、世界の果てで
人殺し──その言葉が、耳から離れない。
しかし、こうして泣く彼女は、儚く弱かった。
追求するより、優しく守ってやりたい自分がいる。
やがて深音は、こくりと首を縦にふった。
「……家の前まで送ってください……」
「……おう」
「明日は、おうちに行って良いですか?」
「……朝イチで迎えに来てやるよ」
頭を撫でてやると、青かった顔に、初めて赤みがさした。
さすがに、笑えないみたいだが。
「指……ちゃんと、手当てしてね」
「わかってる」
「……ごめんなさい……」
彼女は、また抱きついてきて。
少し、泣いた。
……だから、少しは警戒しろよ。
俺は、お前が好きなんだ。
智がしたかった事と、俺の胸の奥の願望は、きっと大して変わらない。
しょうがねぇな。
身分違いの恋だ。
俺はもう。
完全に。
この歌姫の、家来になってしまった。