君と、世界の果てで
絶対、嘘だ。
これは夢だ。
彼女は、こんなにも俺の中に居るのに。
いつだって、綺麗で。
でも、子供で。
自分の欲望に素直で。
たまに、イタズラ娘で。
俺を困らせて、楽しんで。
触れれば、過敏に反応して。
ステージに上がれば、唯一無二の歌姫で。
一生懸命、愛情をくれた。
あんなに激しく、求めあったじゃないか。
あんなに、大きな声で、歌っていたじゃないか。
確かに、生きているのに。
どうしてだ。
理不尽だろ?
何で君なんだ。
神は何故、君を俺から奪っていく?
大事なものなら、ベースだって、この指だって、耳だって良いはずだ。
陸、頼む。
そこに神がいるなら。
伝えてくれよ。
他に、何を引き換えにしてもかまわない。
だから彼女を、地上から奪わないでくれと。