君と、世界の果てで

(3)心当たり






どれくらい、そうしていたのだろう。




「いってぇ……」



ひどい頭痛がする。




次から次へと溢れた涙。



もう止まらないんじゃないかと思ったが。



「止まるもんだな……」



深音の母親が帰ってから、まだ香水の香りが残るベッドで、泣き続けた。



涙を流したのは、陸の葬儀の日以来だ。



あぁ、そうだ。



誕生日の日、深音は言っていた。



『明日死んだらもう言えない』


『陸も、水族館のシャチも、突然死んじゃったじゃない』



あれは、智に襲われた恐怖から出た言葉じゃなかったんだ。



本当に、自分の死を身近に感じていたんだな。



俺は……何やってたんだ……



何も、気づきもしないで。



ただ、幸せな日々が続くと信じていた。



愚かすぎるだろ。



まだ、間に合うだろうか。



何か俺に、できる事があるだろうか。



< 306 / 547 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop