君と、世界の果てで


あの日から本番までの1週間は、幸い発作を起こさず過ごす事ができた。


しかし、ライブで。


1時間も立ちっぱなしで。


多少緊張や興奮もするだろうし。


果たして、無事に終われるのだろうか。



「お待たせ」



控室で悶々としていると、着替えた深音が現れた。



「可愛いでしょ?」


「……いつもに増して派手だな……」



深音があの日からも休まず作った衣装は、白いワンピースだった。


クリスマスのドレスとは違う。


膨らんだ袖。


スクエアネックの上半身には、大小のビーズで模様が描かれている。


腰からパニエを仕込んで膨らんだスカートは、何種類ものチュールやレースで出来ていた。

その上にはベージュ色のリボンや、ダミーのパールがあしらわれている。


頭にはシルバーの小さな王冠が付いていた。


裾が膝丈ではなく、床に付いていたならば、ウェディングドレスと言ってもおかしくない出来だ。


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