君と、世界の果てで


俺が智の車にひかれた日、深音は発作を起こした。


当然外出許可は白紙。


やっと体調を取り戻したころ、深音の父親が申し訳なさそうに言ったそうだ。



『深音、ごめんよー。

お父さんが深音のスマホ、落として壊しちゃったんだよー』



深音は愕然としたらしい。


しかしそれは、両親の策略だった。


深音の両親は、俺が死にかけたことを報道で知って、

深音に心痛を負わせてはいけないと思った。


それで、俺との連絡が取れないうちに、海外へ心臓移植に行くことに決めたのだ。


もうそれしか、深音が生きる術がなかった。



「ふざけんなって思ったけど、結局負けちゃったんだよねー。

パパもママも、家まで売ってお金作ってさ。

そこまでしてもらって、『行かない』とは言えなかったの」



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