口笛が聞こえたら




やばい、やばい、やばい!


始業式の放課後から
焦っている私こそ
木下 結夏(ユイカ)
今日から高校二年生!!


ってのんきに
自己紹介してる
場合じゃない!Σ



愛との交換ノート
教室に忘れてるよ…ね…?


始業式早々忘れ物なんて

しかもよりによって...


とにかく慌てて
走って学校へ向かった


その頃
ほとんどの生徒は
帰宅、もしくは
部活動の真っ最中で


教室に残っている生徒は
多くはないはず!



結夏はそう確信していた


でもやっぱ
焦りは隠しきれない



…誰もいませんように。




ただそれだけを願って
慌てて靴をはきかえた


『…よりによって、なんで
愛とのノート忘れちゃうんだろ』



それもそのはずだ



愛とは
結夏の大親友の村上愛のこと


小学校からの付き合いで
今ではお互いに
何だって打ち解けて
嘘だって簡単に
見抜けてしまうまでの仲だ





だからこそ焦りは増す



愛とのノートは
隠し事が一切ない


絶対にノートを読まれる
訳にはいかないのだ


やばいやばいと
慌てているうちに


自分の学年の階に着いていた


………あれ?


電気ついてる。




ごくりと唾を呑み込み


結夏は恐る恐る教室に近づいた




< 1 / 11 >

この作品をシェア

pagetop