Message 〜キミに伝えたいコト〜
出会い

「あらっ、もうそんな時間?」

「うん、日向さんはいっつも忙しく走り回ってるから時間の感覚がなくなっちゃうんでしょう?」

「あーそれ、
私のコトけなしてるでしょー

まあいいわっ。
もうすぐ、5月っていってもまだまだ風が冷たいから、早めに戻ってきてね、桜空ちゃん。」


ママに買ってきてもらった真新しい本を片手に、
お気に入りの場所へと歩みを進める私に声をかけてくれたのは、看護師の日向さん。


私が入院するフロアーの担当になって3年目だけれど、ちょっとおっちょこちょいな性格。
他の看護師さんより、倍の時間がかかるから師長にお叱りを受けてるところをよくみかけるの。

でもね、日向さんは一人一人の患者さんにじっくり時間をかけて接してくれるし、仕事はきちんとこなしてくれる。
だから、日向さんのファンは多いんだ。


いってらっしゃーい


日向さんに見送られて私が向かう場所は、



広い中庭の、小高い場所にある木陰のベンチ。


午前中は、回診の後点滴を受けながら院内学級で授業を受け

昼食の後、夕方の点滴までが自由時間。

決まって14時から16時の間、この場所で読書をしたり、
絵を書いたり、

時にはなーんにもしないで、ただ目をつむってiPhoneで好きな曲を聴いて過ごすの。


「おっ、今日も来たね桜空姫。」

「もぉー遠藤さん、
その姫 って呼び方やめてよねぇ。」


そりゃあね、この病院では古株な私。
おじいちゃんから、ちっちゃな天使たちまで、知り合いは沢山できたけれど…

「なあ桜空姫、ワシの孫と今度あってみないか?」


ガハハと笑う遠藤さんには、丁重にお断りして退去願う。


遠藤さんは腎臓が悪くて定期的に透析を受けてる患者さん。


ここでは看護師さんたちだけじゃなく、私を知る入院患者さんも気にして声をかけてくれたり、なんだかんだ見守ってもらっている。






そう…あれは、15才の冬





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