野獣の飼い主
時間もちょうど良いし体育館に行こうかな。

メールは後で返事しよう。

なんか今は面倒。

「佐々木君肩ごめんね」

「大丈夫。もう時間?」

「そう。参加するの?」

「するよ。委員長だし(笑)」

そうだった。

ついつい忘れてしまう。

それも仕方ないかもしれない。

私の学校では、生徒会長だろうとクラス委員長だろうと投票制だ。

だから大体人気者が選ばれる。

似合わない者がほとんど。

辞退できないから大変だ。

「佐々木君って…意外と真面目だよね」

「よく言われる」

並んで体育館を目指すことにあまり意味はない。

「あ!」

体育館の入口で佐々木君が止まった。

「珍しい~」

私は驚いている佐々木君が見てる方向に視線を向けた。

確かに、珍しい。

体育館の一角を陣取っている黒い集団。

その中心には王様がいた。
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