In the warm rain【Brack☆Jack３】

【３】

【３】




　荒んだ雰囲気のダウンタウンとは違って、エアポートの周りに広がる高層ビル軍は、まだ太陽も完全に沈まないうちからこうこうとネオンの灯りに彩られていた。

　その中のひとつの店に、エイジはポケットに手を突っ込んだまま入っていく。


「呼ばれたんだけどな」


　エイジの姿に気付いた守衛に、そう声をかける。

　守衛は黙って頷くと、奥にあるエレベーターの方を指し示した。


「どうも」


　軽く挨拶して、エイジはそのエレベーターに乗り込む。

　地下に降りると、そこは地上よりも明るく輝くネオンや電飾の世界が広がっていた。

　スロットやルーレットが立ち並ぶそのスペースを通り抜けて、エイジはあるテーブルに座る。


「久しぶりのデートの場所にしちゃ、なかなか気が利いてるよな」

「そう言ってくれると思ってたわ、エイジ」


　向かい側に立つ、真っ赤なイブニングドレスを着た女――ユイは、にっこりと笑った。
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表紙・目次

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