In the warm rain【Brack☆Jack3】
Act,2

【1】

【1】




「――本当なの?」


 卵をとく手を止めて、ミサトはレンの方に視線を送る。

 次の日。

“口のうまさ”を自ら称賛するあのお調子者は、朝早く荷物をまとめてアパートを出ていった。

 要するに、情緒不安定なミサトに今、このタイミングでそれを言わせようと言うのだ。

 朝起きてから約四時間ほど悩んで、レンはようやく重い腰をあげて『AGORA』にやってきた。

 四時間悩んだ挙げ句の答えは“正直に話す” 事だったのだが。


「あぁ、本当だ」

「…へぇ…」


 この“答え”が当たっていたのか、ミサトの反応は想像していたよりもはるかに大人しいものだった。

 もう少し盛大なリアクションをとるかと思っていたのだが。


「何よ、レン?」


 何か言いたいの、とミサトは続けた。

 レンは慌てて否定する。
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