最後のお願い。
我が儘



気付けばお前は俺に

我が儘とかお願いとか

1回もしてこなかったよな。









なのにあの日は違ったな。










仕事中の俺にいきなり

電話がかかってきた。

美羽だ。

すぐに電話に出て

「どうした?」

って俺が聞くと

「海翔…美羽プリン食べたいな」

って言ってきたんだよな。

でも仕事中の俺は

「あと10分で休憩だから

またかけなおす」

って言って切ろうとしたとき

「知ってる(笑)」

笑いながらそう言う美羽。

「じゃあな、もう少し待ってろな」と俺。

「はーい!!ばいばい」と美羽。










これが最後の会話でした。









これが本当のばいばいでした。










休憩に入り、プリンを買って

どこの病院か聞くために

美羽に電話した。

「………ただいま電話に出ることが

できません……………」

何回かけても繋がることはなかった。










毎日毎日ずっとかけ続けたけど

繋がらなかった。

「………おかけになった電話番号は

現在使われておりません……………」

ついにはかけることもできなくなった。










《まあ、退院でもして

俺に飽きたから違う男と

仲良くやっているんだろう》

そう思っていた。




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