君と本気のラブゲーム
GAME0 


「おはよー」

いつものように机の上にカバンを投げ出しながら、私は前の席に座る桜木嘉乃(さくらぎ ひろの)に声をかけた。



「……嘉乃?」

いつもなら、すぐさま振り返って「おはよっ」と元気に挨拶を返してくれるのに。

反応のない嘉乃にそう思い首をひねりつつ、私はちょん、と嘉乃の肩をつついて、

「嘉乃!」

ともう一度声をかけた。

すると、嘉乃はびくっと頭を上げ振り返ると、たった今私の存在に気がついたように目を丸くして私を見る。


「……なに、どうしたの?」

私を見つめたまま何も言わない嘉乃に、私は眉を顰めてそう訊いた。


「……どうしよう、アヤ」

やっと口を開いた嘉乃だったが、未だ視線はぼんやりと私を捉えたまま。


「どうしようっていったい何が」

「私、天才かもしれない」

「は?」


いったいどうしたんだこの子は、と怪訝な顔で自分を見る私の視線なんてお構いなしに、嘉乃は突然覚醒したように勢いよく椅子から立ち上がると、ガッ、と強く私の肩を掴んだ。


「アヤ!」


そして、キラキラした目をして私を呼ぶ。


「な、なに?」

こ、怖い。

なんか怖いよ。


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