これからは…

2か月後

「えー、2週間も連絡が来てないー!?」

ドリップで落としたコーヒーを両手で抱え込むようにして持ちながら、

研修医・園田夏美は医局のソファでチョコをつまんでいる指導医・立花しるふの向かいに腰を下ろす

「うん。2週間前に死んでるんじゃないかと思って電話してから何にも」

スーパーでファミリーパックとして売られている小さなチョコを口の中で転がすと一日の疲れが少しだけ軽くなる

「あっりえない。2週間も音沙汰なしなんて…。浮気しようが、なにしようがあっちの勝手じゃないですか!!立花先生も立花先生です!!いんですか!黒崎先生に変な虫がついちゃっても!!」

一匹じゃ済みませんよ!!

「やっぱりさ、言い寄られてるかな」

ふと見上げる天井は、綺麗なタイル張りだ

「言い寄られてるに一万かけても良いよ」

しるふの隣で飯田がチョコの包みを開ける

「私も一万かけますよ、迷わず」

「やっぱり?本人はそんなことないって言うんだけど、絶対そんなことないと思うんだよねー」

今度問い詰めてみようかな

「問い詰めてもさ、黒崎先生自身が、これは言い寄られてるんだっていう自覚がないんじゃ意味ないよね」

黒崎先生の基準ていまいちよくわかんないし

さすが4年仕事をしてきただけはある、飯田莉彩の談である

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