白銀に散る
プロローグ

『あなたはね、人を助けることの出来る人間なのよ』


幼い頃、私は初めて母からこんな言葉を聞いて、なんて素敵なんだろう、と何も知らずに瞳を輝かせた。

人を助ける。そんな響きに憧れた、物心のついたばかりの幼い日。


『でも、それは一度しか出来ないわ。よく考えてから行動するのよ?』


その言葉の意味を知らずに、私は元気よく頷いた。
今思い出すと、母は寂しそうな瞳をしていた気がする。それは、いつか別れの日が来ると、分かっていたからなのだろう。

持たなくて良いはずの力を持って生まれた私達。
それは、自らが別れを選択しなければならない、残酷な宿命。百年以上前から続く、抗えない運命(さだめ)。

その力の対価は――。

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