柔らかそうだなぁ、と常々思っていた彼の黒髪は、指に絡ませてみて初めて分かったのだけれど、案外こしがあった。


ほっそいなぁ、薄いなぁ、と思っていた彼の体は、シャツを脱げば驚くほどたくましく、まるで鋼をよりあわせたような筋肉で、腹筋は六つに割れているし、のしかかられれば、普通に重かった。







「まさか、ここで初めてとか言わないよね?」



高槻蓮(たかつきれん)

32歳。新進気鋭のインテリアデザイナー。

そして私が働いている事務所の社長でもある彼は、いつもの不機嫌そうな顔で私の太ももを撫でながら、ぽつりとつぶやく。



「は、はい、違います。大丈夫です……」



何を謝ってるんだ、私は……。


と、思ったけれど。

決してこの人を怒らせてはいけないと副社長にしつけられている私たち社員は、彼の言葉を否定することに慣れてはいない。



この作品のキーワード
意地悪  溺愛  上司  地味OL  不器用  じれじれ  オフィスラブ  青天目ビル 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。