もう一度
2

はっと一瞬にして目が覚める

飛び込んできたのは、白い天井

自分の部屋だ

むくりと起き上がった体は、心なしか重い

吐いた息も長くて深い

やっぱり秋は苦手かもしれない


「まーた、暗い顔しちゃてさー」

ICUから出るとしるふと一緒に回っていた飯田が、ため息交じりにつぶやく

「そうかな?」

「そうだよ」

「また夢見が悪くてね」

苦笑交じりに答えると鋭い視線が向けられる

「ま、別にいいけどさ」

言いたくないんなら

莉彩にすら言えていない両親のこと

知っているのは、海斗ともしもの時のための医局長のみ

飯田の責めるような視線から逃れようとふと視線を向けた先

そこに歩いていた海斗と小走りに近寄ってくる芳川に動きを止める

「お似合いだなー、とか思ってんでしょ」

「え?ああ、うん」

まあ
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