――先輩。


声を掛けられて、私は一瞬躊躇した後、ほんの少し顔を後ろに向ける。


視界の端っこに映るのは、どこか思いつめた表情を浮かべた幼なじみ。


いつもは無邪気で明るい笑顔を浮かべる彼が、どこか泣き出しそうにも見える。
纏う雰囲気すら違う真剣な瞳だからか、妙に大人びて見える。


私は、不本意ながらドキッとした。
真っ直ぐ見つめられずに、視線をずらしてしまう。


「先輩」


背中を向けたままの私に、彼は大股で近付いて来る。
そして後ろから私の腕をグイッと引っ張った。


「ちゃんと僕を見て」


叫びそうになる声を、必死に低めているのがわかる。


彼なりに一生懸命感情を抑えようとしてる。
その代わり、いつもよりも行動が乱暴になる。


「……痛いよ」


腕を掴む力の強さに、驚きを隠せずに困惑した。

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