最後に残すは後夜祭のみ。
今年の劇も無事に終わって、みんながリラックスモードで残りの文化祭を楽しんでいる。


校内に入り込んでいるマスコミを気にしているのか、江藤君は私に近付きはしない。
だけど、クラスメイト達と接してる様子は、いつもの江藤君と何も変わりなくて、なんだかちょっとホッとした。


『演じる』という重い義務からは解放された。
だから私も、やっと自分に戻れる。


この瞬間を待ち望んでいたはずなのに、戻ろうとして戻れない自分がもどかしい。


「美優、普通科の執事喫茶行ってみようよ」


文化祭のプログラムを吟味していたサヨが、他の女子と一緒に私を振り返った。


「なんか最近こんなのばっかりだけど、もてなしてもらえる分には、それなりに楽しめそうじゃない?」

「って言うか、うちのクラスの男子どもにやらせた方が、絶対目の保養だけどね」

「だって去年はそれで禁止令まで出たじゃない」


みんながくだけた雰囲気で笑い合う。


うん、と頷きながら、教室の中にグルッと視線を巡らせた。
見渡せる場所のどこにも、梗也の姿は見えない。


なんだか私から身を隠してるみたいで、モヤモヤする。

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