私が立ち上がらなかった理由
3、

バシッ!




私は笑顔のまま思い切りそいつの腕をひっぱたいた。



「何してるんですか?」


「そんなふうに拒否っちゃ駄目だって、明日菜ちゃん。」



悪びれる様子もなく、
流と名乗ったそいつが私の顔をのぞき込む。



「それにさぁ、俺、呪いかけれるんだよね?」



こいつは馬鹿なんだろうか。
私はあからさまに呆れた顔をした。



「信じてないでしょ?」



いやいや普通に信じないでしょ。
顔にやついてるし。



「本当だよ?」



にやにやしながら流と名乗ったそいつが言う。



「昔ねぇ、試験とかで俺が落ちるっていった奴はみんな落ちて、受かるっていった奴はみんな受かったんだよ?すごくない?」



「そうですか。」



ため息混じりに適当に相づちを打つ。



「だから、俺に逆らわない方がいいよ?呪いかけちゃうから。」



そういって流と名乗ったそいつが
少し脅すような怖い顔をした。



「じゃあやってみればいいじゃないですか?」


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