曖昧ショコラ【短】
篠原に散々からかわれた後、グッタリしながらも夕食の片付けを終えた。


体を襲うこの疲労感は、もう染み付きそうな程に慣れた物。


あの2月15日以降、篠原のあたしへの態度が変わった。


以前はただの暴君だった彼のからかい方に、明らかに艶(ナマ)めかしさが加わったのだ。


あの日の情事を思い出させるような、と言うよりも、あの夜の事を忘れさせないような振る舞い。


そんな事をする篠原の真意はわからないけど、まるで日常生活の一部になりそうな程もう何度も彼にからかわれているのに…


あたしはその度に動揺し、そして酷く狼狽(ウロタ)えてしまうのだ。


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