ふーりっしゅ!

*プロローグ


「真白」


あまり大きくない、それでも耳にすっと入ってくる涼やかな声が部室に響いた。

もうかれこれ十分くらい前から進んでない宿題から顔をあげると、

やっぱり先輩がこっちを見てる。


「どうかしたんですか?」


首を傾げて聞いても、右京先輩はちょいちょいと手招きするだけ。

いや、何かしゃべってよ。

とは勿論言えず。

仕方なしに立ち上がって先輩のそばに近寄った。


「先輩?」
「アレ」
「なっ……うぇえっ!?」


窓を指すからカーテンの隙間からひょこっと覗くと、

トンデモナイものを見てしまった。

部室から見える中庭と、その奥のフェンスで区切られている校庭。

そこに沿うように植えられている桜の木のしたは校内できっと一番有名な告白スポットで。

放課後の、静まり返った校舎と夕暮れの光のなかに二人の生徒が見える。

まるでドラマか何かのワンシーン。

いやでも、見えるっていうか影とかくっついてるよね!?

かろうじてスカートとズボンだから男女って分かって……

って、顔くっついてるよね!?


「き、キス……?」


ちゅーですか、学校のそんな目立つところでちゅーですか!?
< 3 / 7 >

この作品をシェア

pagetop