青空バスケ―番外編―
―あの時の私達―
栞奈side

高校一年・冬

二月のとある日。

女子は女子同士でキャッキャッしながら可愛くラッピングされたものを渡し合っている。

それを物欲しそうに見つめる男子達。


……そう。

今日はバレンタインデー。

本当なら好きな人にチョコを渡して告白する日だけど……この中にそんな本命を作っている人はほとんどいないように見える。


「栞奈。はい、チョコ」

「ありがとー。じゃあ、お返しに……」


ほとんど女子同士で交換しているだけ。

みんなのチョコは美味しいし、チョコは大好きだから嫌なわけじゃないけど……


「今年も……渡せないかな……」


カバンの中にひっそりと入っている、気合いを入れて作ったチョコ。


……あたしは向こうで友達と楽しそうに話している大和を見た。


毎年、大和にはチョコを渡している。

だけど、それは“義理”としてみんなと同じように……。

だから何年経ってもあたしと大和の関係は変わらなくて……。


「……はぁ」


ため息をついてしまう。

どうしたら、いつになったら……“本命”として渡すことができるのかな……。


……もし、大和に好きとたった一言を告げてしまったら……あたし達の今の関係は崩れちゃうのかな……。

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