AZZURRI~AZZURRO番外編~
側近長・書記官
ジャン・カレハは帝国一の策士
または軍師と言われる秀才である

幼き頃よりクリスに仕え
苦楽を共にしてきた


「ジャン様。こちらの確認をお願いいたします。」

クリスの側近長官を務める傍ら
書記官としても仕事をこなす彼の日常は多忙である



ハジェンズの宮でカイルより送られてきた書簡に目を通した
ジャンの眉間に深くしわが刻まれた


「また…か。」

ため息交じりに書簡を机に置くと軽くこめかみを押さえた

「また…とはクリス様のお妃様候補の件ですか?」

隣で作業していた書記官がたずねると
ジャンは軽く頷いた

「困ったものだ。
何度同じ事を伝えればよいのか…歳をとると頭の中が空になるのか?」


最近特に多くなったのはクリスに妃を進める書簡だ

大臣の何番目の娘
属国の王女
年頃の娘がいれば是非にと姿かたちの特徴を事細かに書いた
書簡を送りつけてくる

そのたびにジャンは丁寧な断りの書簡を出しているが
一向に量は減らなかった



< 1 / 37 >

この作品をシェア

pagetop