AZZURRI~AZZURRO番外編~
アレクサ帝国皇帝
アルヴェス帝国と広大なエイル川を挟んで
広がっているのは砂漠の楽園アレクサ帝国だ


皇后の死後悪化の一途をたどっていた政治は
当時皇太子だった皇帝実子の皇子の尽力により
目覚ましい回復を遂げた

またそれと比例するように
民の生活も潤いを取り戻している


現在帝国の回復に尽力した皇太子が
皇帝になり国民からの絶大な支持と的確な手腕を持って
国を治めている


皇帝ブレイク・ロハソンに書簡が届けられたのは
夏が終わったばかりの夕暮れだった

砂漠にも冬は来る
日中の気温は少ししか変わらないが
夜、日が落ちると零下まで落ち込むのだった


「陛下、アルヴェス帝国の皇太子妃より書簡が届いております。」

「皇太子妃?」


側近のハビエルからの意外な言葉に珍しく表情を変えるブレイク

アルヴェス帝国とは数年前に平和協定を結び
友好国として今では国交も盛んである

そしてアルヴェス帝国の皇太子妃は
まだ皇太子が皇子だったころ当時側室になったばかりの彼女を
ブレイクが誘拐したことがあった

それ以来会ってはいないが皇太子妃が異世界人だと知っている
それに
彼を変えた言葉をくれたのは他ならない彼女だった


「よこせ。」


ハビエルから書簡を受け取ると
ブレイクは丁寧に包まれたそれを乱暴に開けた

ふわりと香る甘い香りと共に中から出てきたのは
光沢のある美しい紙

しかし

そこに書かれていた文字は踊っていた

異世界人の彼女が読み書きをできるようになった事に
驚くとともに別れてからの年月の長さを感じ懐かしさも感じる

そして
必死になって書いただろう姿を思い浮かべると
自然に口角が上がるのが感じられ
思わずハビエルに背を向けた
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