Memory
Episode1

新しい教室


春。

すべてが新しくなる季節。

今日からまた新しい生活が始まる。


あたし、夜神月水は今日高校二年生になる。


心地よい風が吹きぬけ茶色いあたしの髪とスカートを揺らす。


目の前にある大きな建物は洋風で後ろに見えるテラスはとても日本のものとは思えない。

そんな建物…いや学校にあたしは今日から通う。


門をくぐり抜け昇降口まで来ると白衣を着た先生らしき人があたしに声をかけてきた。



「夜神月水さん?」


「あ…はい」


「はじめまして、保健医の川島です。あなたを職員室まで案内するように言われてるの」


川島先生は黒髪のショートボブで優しそうな人だった。


保健医がわざわざ来るってことは状況を確認しに来たんだろうな…。

正直、案内なんていらないんだけどな…。

職員室くらい一人で行けるよ…。


「今日から何かあればすぐに私のとこに来てね」


「はい…ありがとうございます…」


そう言う先生は悲しそうな顔で言う。

だから人には知ってほしくないの。


心配というより同情のような…そんな気持ちが向けられるのが嫌いなの。



職員室までの道は、昇降口をまっすぐ抜けて右の角を曲がる。

職員室に着くと今度は担任が待っていた。


「ここからはこちら担任の永瀬先生がクラスまで連れて行くから」

「永瀬だ。これからよろしくな」

「よろしくおねがいします」


永瀬先生は若くて顔が整った先生だな~って思う。

茶髪だし、黒縁の眼鏡が似合ってる。


「じゃあ私行きますから。夜神さん、またね」


そう言って川島先生は去った。


すると永瀬先生はこっちを向くとニッと笑う。


「俺のクラスに転入生がくるなんて!!感激!!」

「え?」


あたしは思わずびくっとしちゃう。


「あの…」

「夜神!!俺のクラスはいい奴ばっかだから!!体のことは心配すんな!!」

「あ…はい…けどあの…」

「どした?」

先生のテンションの高さに第一印象は崩れた。


「あたしの体のこと…まだクラスの人には伏せておいてもらえませんか?」

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