クリスマス&お正月
「何してんの」

慣れた手つきで車庫入れを終えた海斗が、家を見上げているしるふに話しかける

「いや、海斗はここで育ったんだなーと思ってさ」

にしても大きい家だ

首をかしげながらしみじみつぶやくしるふを横目に、

車庫と庭を区切っているドアを開ける

「あ、ちょっと!おいてかないでよ!!」

背後でしるふの焦った声が聞こえて、ほんの一瞬歩みを止める

しるふが追いついてくるにはそれで十分だ

再び歩き出すと、ひょいと隣に並ぶしるふを横目に我ながらすごい感覚だ、と思う

まあ、それだけの時を数えてきた、か

そう思いながらふと見上げた空は、冬にしては明るい色だった
< 32 / 76 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop