今夜 君をさらいにいく【完】
飲み会―Side玲人―




俺はこの会社で「冷酷人間」や「鬼課長」と陰で呼ばれている事は知っている。

でも特に気にしてはいない。そんなのは勝手に言わせとけばいいんだ。

俺は俺の信念を貫く。誰に何を言われても、自分の理念を信じている。

今までずっとそう思って生きてきた。

きっとこの考えはこの先もずっと変わる事はないだろう。



同じ考えを持つ恵里香は良き理解者だ。

恵里香と俺の親は仲が良く、こいつの事は産まれた時から知っている。

真面目で機転も利くし、頭が良い。こいつがこの会社に入社が決まった時は本当に嬉しかった。


心強い部下ができたと喜んだ。

だから先月入社した派遣社員の教育、指導を恵里香に託した。こいつにまかせれば間違いないと思っている。





今日はその派遣社員達の歓迎会だ。



駅前にある居酒屋、酒楽は以前も同僚と何度か来た事がある。ほどよく広い店内は、リーズナブルな価格のおかげか常に満席状態だ。


今日は週末ということもあってか、早い時間から混み始めている。


六時半・・・


七時開始の予定だったが30分も早く店に着いてしまった。


宴会場へ向かう途中、桜井に出くわした。



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