君と出会ってーー。~あなたがいた頃は~

すれ違いと裏切り

「オイ、母親さんよぉ…。」




廊下から聞こえる、空斗の声。




思わず扉に耳を近づけた。




今、思えばこの時盗み聞きなんてしなければ良かったんだよね。




盗み聞きをしてしまったから、あたしは暗い闇のどん底に沈んでしまったんだよね。




でも、未来の事なんてわかるはずもないから。




あたしは聞いてしまったんだ。




「確かに、琴音は必要ない存在だ。…」




紛れもない、空斗の声で。




はっきり、"琴音は必要ない"と。




ふいにすごく、目の前が真っ暗になった。




空斗、そんなこと思ってたの?





嫌、いや、イヤ…




全部…ウソだったの?




誰か、あたしを救って?











< 94 / 234 >

この作品をシェア

pagetop