シークレット ハニー~101号室の恋事情~
◇言葉ひとつ、微笑みひとつ



「怒ってる? 葉月」


マンションまでの帰り道。
数歩先を歩く私の機嫌を伺うように、後ろから五十嵐さんが聞いてくる。

怒ってますとも。怒ってるに決まってるじゃないですか。あんな全部ぶっちゃけちゃって怒らない人がいるんですか。
野田のあの、いいネタ聞いたみたいにニヤっとした顔見なかったとは言わせないですから!

心の中でそう怒鳴っていると、俺は怒っているけどと後ろから聞こえてきた。


「……なんで五十嵐さんが怒るんですか」


立ち止まって振り向くと、五十嵐さんは言葉通り怒っているらしく、少ししかめっ面で答える。


「野田と何かあったら連絡する約束だろ?」
「え、あれ……してませんでしたっけ?」


携帯を開くと、メール作成画面に五十嵐さんに送るハズだったメールが残っていて。
内心しまったと思いながら、チラっと五十嵐さんを見た。


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