シークレット ハニー~101号室の恋事情~
◇甘い誘惑



人事部の応接室を出て監査課に向かう途中。
五十嵐さんが、本当にいいの?と聞いた。

公言なんてしたら、少しの間は騒がれるだろうし、五十嵐さんがいくら見守って欲しいって言ったところで私に食ってかかる人もいるかもしれない。
というか、確実に数人はいると思う。

私にだったら勝てると思う人は少なくなさそうだし、私から彼女の座を奪い取ろうと考える人だってきっといる。

だから、いいのかなんて念押しされると気持ちが少し揺れてしまうのも事実だけど。


「野田に面白おかしく広められるより、五十嵐さんの口から言ってもらった方が安心できますから。
あ、でも昨日五十嵐さんが野田に全部言ったのって、どっちみちバラす予定だったからだったんですね」
「そうだよ。叔父さんにも許可もらってたし。
葉月は俺が暴走して全部べらべら話したって思ってたみたいだけど」


そう微笑まれて、苦笑いを浮かべてから目を伏せる。


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