「色気のねぇ女」


 突然、男の人の声が上から降ってきた。


 周りに誰もいないと思っていた柚は、ぎょっとして足が竦(すく)んだ。


「だ、誰だ!?」


 柚は一回転して周りを窺う。


しかしどこにも人の姿はない。


「もしかして男か? いや、女だな。俺様が男か女か見違うはずがない」


 声は上の方から聞こえる。


しかし見上げても、そこには真っ青な空と木々があるだけだ。


 ここは、柚が出場していた全国高等学校剣道選抜大会が行われていた体育館からほど近い自然公園。


静かな森の中にいるかのようだ。


木の上に誰か登っているのかと思ったが、人が登れるような大きな木はない。


それでも注意深く見ていると、木の間から孔雀の羽のように長い尾を垂らした紅い大きな鳥と目が合った。


とても立派な鳥である。


「うわ、かっこいい鳥」


 思わず紅い鳥を見ながら呟いた。


すると、「俺様は確かにかっこいいが、貧乳に言われてもあまり嬉しくはないな」と鳥が言った。


「え?」


 思わず眉を寄せて聞き返すと、紅い鳥も不思議そうに「ん?」と言った。

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