柚は男が着ていた女物の服をそっくりそのまま受け取った。


背の高さが違うので多少大きかったが、帯で着物の長さを調節すれば問題なかった。


男が被っていたかつらも被ると、男に間違われていた柚の面影はどこにもなかった。


更に化粧をすると、見違えるように綺麗になった。


元々顔立ちは整っているので、化粧映えする顔なのかもしれない。


この変貌には暁も驚いた様子だった。


暁の態度や柚を見る目が変わったのを、柚もなんとなく分かったが、それは似合っていないからだと全く逆の解釈をしていた。


今の柚は誰が見ても清廉な花の乙女だが、本人は似合っているとは露ほども思っていないようで、なんだか落ち着かない様子だ。


 一方、柚に着物を渡した男は、膝下まで長さのある濃紺の上衣に踝がきゅっと締まっているズボンを履いていた。


かつらを取った髪を結いあげ幞頭(ばくとう)を被ると、すっきりとした美青年に変貌していた。


薄く施した化粧もとり、男の身なりをすると、か弱そうな美女に見えていたことが信じられないくらいだった。


自信溢れる立ち居振るまいが、妙に板についていて、自然と目で追ってしまうような魅力を放っていた。

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