朱雀の婚姻~俺様帝と溺愛寵妃~
「うん、まあそんなかんじであろうな」


 暁は目を泳がせながら、貴次の言葉に乗っかった。


すると、大臣たちは心底納得した様子で「それならば帝の決断に賛成いたします」と言い室を出て行った。


 ようやく静かになった室で、貴次と二人きりになった暁は、ふ~っと大きなため息を吐いた。


「さすが貴次、でかしたぞ」


「ありがとうございます。しかし、あの場を収めるためにあんな風に言いましたが、私は朱雀の巫女を妃にするのは反対なのです」


「どうしてだ?」


「朱雀の力を利用するのは、諸刃の剣になるのではないでしょうか。

言い伝えでは、朱雀の巫女は平和をもたらすと言われておりますが、強大な力は扱い方を間違えれば国を滅ぼすことになるやもしれません」


「それなら大丈夫だ。

余は、柚に頼ろうなどとは思っておらぬ。

余は純粋に、柚を女として気に入ったのだ。

物の怪は余が必ず倒す」


「しかし、私はどうも嫌な予感がするのですが……」


「相変わらず心配性だな、貴次は」


 はっはっはと豪快に笑う暁に対し、貴次の顔色は冴えなかった。
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