「千紗さん?」


ゆっくりと傾く彼女の背中にそう声をかけたが返ってくる声はなくて、


「千紗――」


もう一度声をかけたときは彼女の身体は湯の中に沈んでいくから。


「ちょっ」


湯を掻き分けて彼女の隣に。

ぐったりとする身体を抱えて顔を見れば、見事に逆上せて真っ赤な顔が腕の中に落ちてきた。


「……馬鹿ですね」


私に裸を見られたくなくてここまで頑張ったのでしょうけど。


「これでは見放題ですよ?」


そう口にしてクスクス笑ったけれど、彼女の表情が変わることは無かった。

本当に可愛らしい。

白磁器のような肌は昔と変わらない。

頬は林檎のように赤く、唇はサクランボのように艶やかだ。

そのまま視線を落としていけば透明な湯の中でも揺らめく千紗の身体。

少しだけ膨らんだ胸はあのときより成長を見せてはいるが、


「まだまだですね」


そう呟いて、その膨らみに触れた。

柔らかく張りのある胸。その先端には小さな蕾が赤々と。

指先でそっと触れれば、


「……ん」


赤い唇から零れる声。

その蕾は小さいながらも堅く変化していく。

小さくとも女、と言わんばかりに堅く膨らんで。



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