紫水晶の森のメイミールアン

第2話 見窄らしい王女

――心の臓を患っていた、先王が他界してから2年。第一王子であったエメリオスは慌ただしく王に即位し、国政を引き継ぎ、目まぐるしく精力的に寝る間も惜しむぐらい働いた。

 新しい大臣や重臣、地方官まで細々とした人事見直し、諸外国との変わらぬ友好を保持する為の根回しや、友好的ではない国には時には圧力をかけたり、国内の問題点にも目を向け改善策を練ったり…。

 そして、ようやく国王職にも慣れ始め、今まで目の行き届かなかった細々とした問題点にも着目し始めた時に、厄介者扱いの最下位の側妃の存在を知った。

 10年前、リリカルド王国からの熱烈な申し出によって、その頃から体調の思わしく無かった前国王は、争いの火種になる事を恐れ、リリカルドの王女をエメリオス王子の正妃とする約束を渋々承諾したが、あまり乗り気では無かった王は、リリカルド王国が滅亡すると、亡国と交わした約束など無き物に等しいと、王妃の称号を剥奪し、最下位の側妃として粗末な扱いをした。

当時6歳だった王女を、王宮内の外れの見窄らしい石作りの家に住まわせて、その後はほったらかしとされた。

 未だ幼い6歳の少女を、ましてや王宮で何不自由なく育てられた者が、侍女もつけさせずに放置するなど、死刑宣告に等しい扱いだ。その後王女がどうなったのか?王宮内には誰一人として答えられる者はいなかった。

 万が一生き延びていたとしても、ろくな教育もうけられず、食事や身の回りの世話も誰もせず、きっと恐ろしい状況になっているに違いないとエメリオス王は思った。
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