オートフォーカス

２.すごいな

「篤希くん？」

「え？」

絢子に話しかけられて我に返り篤希は意識を仲間内に戻した。

しかし状況が理解出来ずにキョロキョロと目を泳がせて今の様子を伺う。

雅之と裕二と仁美は観光の話で盛り上がり意外にも篤希を見ていたのは絢子だけだった。

「あ、えっと…篤希くんはどこか行きたい所あるのかなって。」

話が盛り上がる中でどうやら参加していない篤希の様子を気にしてくれたようだった。

３人は異人館やら南京町やら大阪やらで意見をぶつけているらしい。

絢子は一歩引いて見ていた為、篤希の異変に気付いたようだった。

確かに声も勢いも凄いその空間に圧され、篤希も苦笑いをしてしまう。

あの中に入ろうものなら、しなくていい怪我をしてしまいそうだ。

「皆に任せるよ。どこ行っても楽しそうだし。」

ちょっと雑誌を覗きこむ仕草をしてすぐに離れ、篤希は椅子の背もたれに体を預けた。

計画をたてるのは嫌いじゃないが好きでもない。

それに白熱したフィールドからは一線引くに越したことないだろう。

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