「なぁに暗い顔してんだ、こら」

 ぐわっと肩を抱かれて、目から星が出そうになる。二の腕の下から千賀さんの腕が入ってきて絡められ、そのままエビ反りみたいになって千賀さんの端正な顔が反対に見える。って、どういう体勢!?

「きゃああっちょっと。プロレスごっこじゃないんだからぁ」

 強靭な体躯をもつ千賀さんからしたら、私なんてひ弱な軟体動物代表!
 涙目で訴える私をよそに千賀さんは今度それよっとお姫様だっこしてソファにぼすっと投げすてた。

 なんていう……乱暴な。し、しかもパンツ丸見えだし。信じられない! さっきのときめき二十年分返せっ。

 反発しようとして金魚みたいにぱくぱくしている口ごと頬っぺたむぎゅっと潰された。

「暗い顔してるからだよ。せっかく帰ってきたってのに」
 千賀さんはコーヒーにようやく口づけ、温い、と一言。だから早く飲めばいいのに……。

「拗ねるなよ、理沙と仲良くしてるからって」
「そんなんじゃないよ」

 私は自分の為に淹れたエスプレッソを大人なフリして流し込む。こっちは熱すぎて、舌がびりっと痺れた。

 涙目になっている私を尻目に、千賀さんはくっと笑う。

「ムキになるところが可愛いな」

 揶揄るための可愛い発言は今すぐ停止すべき! 恋する乙女心を軽んじるなんて言語道断!

 その節張った指が髪に絡むだけでキュンキュンしてることなんて、知らないんだもんね、千賀さんは。

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