千賀さんが帰国して二日目の夜、二十一時。

 お風呂を済ませた私はベッドにうつ伏せになって足をパタパタしながら小説を読んでいた。ノックの音がして「はーい」と片手間で返事をしてから振り返ると、アルバイトかえら帰ってきた理沙がひょっこりおじゃましまーすと部屋に入ってきた。

「おかえりー。夕飯だったら、理沙の分あるよ。今夜はビーフストロガノフ。あとは……オレガノのサラダは冷蔵庫ね」

 ルーティンワークのように返すと、理沙はベッドの前まで駆け寄ってきて、好奇心たっぷりの顔で私に訊いてくる。

「ねえ、それよりお姉ちゃん、昨晩はどうだった」

「え? どうだったって……ああ、結局、外食やめたの。千賀さん疲れてそうだったし、おうちで済ませたんだ。戻ってからも徹夜で仕事してたみたいだよ。ろくに休む暇がないなんて大変だよね」

「じゃなくって! お姉ちゃんなに暢気なこと言ってるの。告白した? それとも千賀さんのことだから、がばっと押し倒してきた?」

「きゃっ」

 ていうか妹に押し倒されたッ! 手元の愛読書はベッドから床に滑り落ちて、妹に組み敷かれている――なんていう状況なの、これはッ!?

「ちょっと、重たいったら! 何言ってんの」

「なんだ。つまんないの。てっきりそうなってると思ったのに。で、二人でラブラブしてると思ったのに……そういう気配ないし、千賀さんの部屋に様子見にいったらワークチェアに背をもたらせてぼーっとタバコふかしてるしさぁ。色気なさすぎる」

 不服そうに口を尖らせて、理沙が興味を失せたように離れる。

この作品のキーワード
プロポーズ  結婚  年の差  らぶらぶ  甘々  大人  溺愛  俺様  御曹司  初恋 

感想ノートに書き込むためには会員登録及びログインが必要です。