君が居る世界
君が居る世界



「…あ、雪だ」



空はとっくに黒く染まり、空気は今日一番の冷たさを保っている。

そんな、午後8時。



部活を終えて幼馴染のユウナと一緒に家路を急いでいると、寒さに身体を縮ませて隣を歩いていたユウナの声が、高らかに響いた。



住宅街の中の道は結構静かで、安定したソプラノの声が寒空によく映える。



声に導かれるように目を細めながら頭上を見上げると、頬に何か冷たいものが落ちてきた。



道路の脇に立っている街灯の微かな光で視界に捕らえることができたそれは、確かに雪だった。



最初はひら…、ひら…と間隔を開けて降っていたけれど、思わず足を止めている間に速さを増して俺たちの肩や頭の上に薄らと積もり始める。



「雪ってことは……ホワイトクリスマスだね!」



漆黒の空を背景にして真っ白な雪を見ていると、ユウナが嬉しそうに声を弾ませた。



――クリスマス。


その言葉の響きで、今日が12月25日だったことを実感する。



別に忘れていたわけじゃないけれど、ここ最近は忙しかったせいで日付感覚がなくなり、うっかりしていただけ。



ユウナは子供みたいに目を輝かせて空からの贈り物を見ていたけれど、それとは逆に、俺の顔はみるみるうちに曇っていった。



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